南米留学放浪放言記

南米コロンビアのボゴタに留学する大学生が色々勝手にホザくブログ。

景色は変わらないけれど

 

日本が8月になったので。

 

※2017年夏に書いた文章を一部加筆修正している

※写真は主に2016年のものを使用

 

 

 

 

夏、故郷・和歌山に帰ってきた。


帰るときは必ず大阪を通過するのだが、それまでのように浪人生として1年間を過ごした予備校の寮を訪ねようとは思わなかったし、何度も歩いた天神橋筋商店街をまた歩こうとも思わなかった。

 

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大阪駅から電車に揺られ2時間強、和歌山駅に着く。

そこからの約5日間は、基本的に家で過ごした。

 

今回の滞在で会った友達は、ともに高校に入学した同期3人、それに部活の友人2人、元クラスメイトの友人の計6人だけ。

皆、ちょうど1年振りだった。

 

皆ほとんど去年と何も変わっていないように映った。

それが良いことなのか悪いことなのかという話ではないし、そこにプラスの感情を抱いたわけでも、その逆でもなかった。

お前変わったなとよく言われた。

そんなつもりはなかったから、自分では分からないものだ。

 

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前年は意欲的に色んな人に連絡して会ったものだった。

小学校時代の同級生3人、高校編入の同期6名程度、部活の同期と後輩、その他高校時代の同級生数名、嘗て好きだった女子2人、当時少し気になっていた女子1人。

色んな人と会い過ぎて疲れたことを覚えている。

 

あのとき小学時代の同級生と会ったのはある友人のツテであり、自分で呼びかけたわけではない。

そもそも、小学校時代はおろか中学校時代の友達ですら、積極的に連絡を取りたいと思った相手はいなかった。

高校時代の女子だってそう。

もっと、高校時代に気心の許せる女友達を作っておけば良かったなんて思う。

 

だって、なんか青春っぽいから。

青春っぽいのが好きなんだと思う。

その当事者でありたいのだと思う。

少なくとも当時はそうだった。

 

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滞在中、知り合いと思しき人間を他に二人目撃した。

 

和歌山駅の駅ビルにいた、高校時代に隣のクラスだった女。

話したことはあったが、名前を忘れるほどに印象が薄れていた。

特に感慨を抱くことはなかった。

 

そして、スーパーにいた、中学時代の同級生だった女。

話したことはあったし、当時はそこそこ可愛いとも思っていた。

毛先の明るい長い髪を結んで後ろに垂らして、ベビーカーを押していた。

そうか、もう母親になったのか。

彼女もこちらに目を遣っていたように感じたが、確信が持てなかった上に、別に話すことなどないなどと感じたため、話しかけることはなかった。


他にもいないかな、と思って目を凝らしていた。

けれども、和歌山駅構内や周辺を歩いても、嘗て通った学習塾に友人たちと行ってみても、駅のホームから電車の中を覗いてみても、もう知り合いは見当たらない。英語を教わったとある先生とすれ違ったけれど、気付かれることはなかった。

 

高校時代は、少し歩けばすぐに知り合いにでくわしたものだった。

狭い世間だった。

 

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友達と高校時代の話をしていて、知らぬ間に色々忘れている自分に気が付いた。

この記憶は永遠のものと思っていても、やはり時と共に埋もれていき、薄れていく。

母に昔のことを尋ねても、覚えていないとよく言われたものだったが、私もそうなりつつあるんだな。

寂しいことかもしれない。

それでもきっと、目に見えない形で何かの糧になっているのだろうけれど。

  

帰りの電車の駅のホーム。

高校の野球部でエースだった奴が、制服を着て働いていた。

甲子園でも投げた男だった。

目が合って、ニヤッとされた。

こちらからも、ニヤッとしておいた。

知らない間に色々変わっていくんだな、と感じずにはいられなかった。

 

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景色はほとんど変わらないけれど、住む人は変わっていくし、住む世界も変わっていく。

古い記憶は薄れていくし、この地ではもう新しい記憶はほとんど作られない。

当たり前のことだけれど、離れていれば、世間は次第になくなっていくものなのだ。

 

 

自分も含め、高校時代の奴らで地元にいる奴はほとんどいない。

小中学校時代の友達はもういないに等しいから、すなわちいま和歌山には友達はほとんどいないことになる。

 


もう、前年とは違って、懐かしい人に会おうなんてあまり思わなかったし、懐かしい場所を巡ろうなんて気にもならなかった。

 

 

 

和歌山が「故郷」になったんだな、と実感した。

こうして皆、住み慣れた場所を離れて去ってゆくのだろう。

 

 

それでいい。

 

帰ってきたときに、懐かしいなと思える場所があること。

それだけで幸せなことだと思った。

 

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